転生脇役令嬢は原作にあらがえない
転生脇役令嬢の原作対策は瓦解する
 原作小説が始まったと判った以上、わたくしにはやらなくてはいけないことがたくさんあるのだわ。

 『堕ちゆく花たち』は、よくある逆ハーレム小説だけれど、決定的に普通の小説と違うのは、最後がメリーバッドエンドというところなの。紆余曲折あって、逆ハーレムを構成する男性キャラたちは一人ずつフラれていき、最終的に物語を通して少しずつ病んでいった主人公のロッティ・アーチボルトがメインヒーローの王太子と心中してしまうのよ。

 その中でも、クレイヴはロッティ・アーチボルトに結婚を申し込んだけど、あっさり断られて逆上して、ロッティ・アーチボルトを誘拐しようとしてしまうの。誘拐が成功する前にすぐに捕縛されたけれど、莫大な賠償金を要求されて借金を追った原作のクレイヴはギャンブルに走った挙句に破滅してしまうの。……短くまとめると、とんでもない話だわ。

 原作のことを思い出してから、わたくしがクレイヴにずっと一緒に居て欲しいと願ったのは、彼が借金苦で身を滅ぼすなんて未来が嫌だったから。結局、彼は家を継ぐために出て行ってしまったのだけれど。

 現実でクレイヴがわたくしの元から去る時に、ギャンブルにだけは手を出さないで、誘拐みたいな犯罪は絶対にしないで、って何度も伝えたら、あの時の彼は「そんなことしませんよ」って笑っていたかしら。

 でも、クレイヴの破滅についてはわたくしは心配する必要はないのよね? だって、彼の破滅のきっかけはロッティ・アーチボルト嬢に求婚して、フラれてしまうところだわ。今はもうわたくしと婚約しているのだし、わたくしと婚約している限りはクレイヴが借金苦でギャンブルに走ることはないわね、きっと。

 ……待って、もしもわたくしが婚約破棄されてしまったら? クレイヴはロッティ嬢のことはあまり好ましくないと言っていたけれど、わたくしと婚約破棄しない可能性はゼロではないのよね!? どうしよう、わたくしのことはともかく、クレイヴが破滅する可能性はまだあるのだわ!?

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