転生脇役令嬢は原作にあらがえない
それらは、わたくしが前世で読んだ小説の脇役たちだった。わたくしは、小説の脇役に転生していたのだわ。
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わたくしが転生したのは、小説『堕ちゆく花たち』の世界。よくある逆ハーレムの小説で、主人公であるヒロインの少女をめぐって、次々と男性キャラが現れてはアプローチをしていくというお話だった。
わたくしはその中でも脇役中の脇役で、メインヒーローに対抗する当て馬キャラの元主人という設定。そう、クレイヴはヒロインに恋する当て馬だったの。
わたくしが登場するのは、クレイヴの過去回想のシーンでほんの少しだけ。昔、わがままなお嬢様に一生仕えろと言われてコキ使われていたことがあったというくだり。
小説の中でも、クレイヴはわたくしの家に執事として入り、わたくしにそばにいて、一生わたくしに仕えてくれると約束していたわ。けれど、子爵家の跡取りになれるという話で、彼は「仕方ないんです」と言って『ポーラお嬢様』の元を去り、その後に出会ったヒロインを慕うようになるのよ。
別にそれだけなら、問題なかった。クレイヴは当て馬になっても、きっとまた新しい恋はできるし、いつか幸せになれる。でも、原作どおりの展開はどうしても避けなければならなかったの。
ここが『堕ちゆく花たち』の世界だと気付いたから、わたくしとクレイヴは、主従と言うよりも親しい友人のように暮らしたわ。もちろん、執事見習いとして屋敷に来ているのだから、人前ではきっちり主従の態度だったけれど、クレイヴとふたりきりの時は、わたくしがお願いして普通に接してもらっていたの。だってそれなら『わがままなお嬢様に振り回される可哀想な執事のクレイヴ』は存在しないでしょう?
最初は、単純に原作の展開を避けるためだけの行動だった。だって、彼は原作通りなら悲惨な最期を迎えてしまうから。わたくしが辛い目に遭うわけじゃなくても、黙って見過ごすなんてできなかったもの。だから、原作通りにならないように、クレイヴがヒロインと出会うことがないようにと思って、接していたの。でもいつしか、彼がわたくしにとって、一番大切な人になってしまった。
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わたくしが転生したのは、小説『堕ちゆく花たち』の世界。よくある逆ハーレムの小説で、主人公であるヒロインの少女をめぐって、次々と男性キャラが現れてはアプローチをしていくというお話だった。
わたくしはその中でも脇役中の脇役で、メインヒーローに対抗する当て馬キャラの元主人という設定。そう、クレイヴはヒロインに恋する当て馬だったの。
わたくしが登場するのは、クレイヴの過去回想のシーンでほんの少しだけ。昔、わがままなお嬢様に一生仕えろと言われてコキ使われていたことがあったというくだり。
小説の中でも、クレイヴはわたくしの家に執事として入り、わたくしにそばにいて、一生わたくしに仕えてくれると約束していたわ。けれど、子爵家の跡取りになれるという話で、彼は「仕方ないんです」と言って『ポーラお嬢様』の元を去り、その後に出会ったヒロインを慕うようになるのよ。
別にそれだけなら、問題なかった。クレイヴは当て馬になっても、きっとまた新しい恋はできるし、いつか幸せになれる。でも、原作どおりの展開はどうしても避けなければならなかったの。
ここが『堕ちゆく花たち』の世界だと気付いたから、わたくしとクレイヴは、主従と言うよりも親しい友人のように暮らしたわ。もちろん、執事見習いとして屋敷に来ているのだから、人前ではきっちり主従の態度だったけれど、クレイヴとふたりきりの時は、わたくしがお願いして普通に接してもらっていたの。だってそれなら『わがままなお嬢様に振り回される可哀想な執事のクレイヴ』は存在しないでしょう?
最初は、単純に原作の展開を避けるためだけの行動だった。だって、彼は原作通りなら悲惨な最期を迎えてしまうから。わたくしが辛い目に遭うわけじゃなくても、黙って見過ごすなんてできなかったもの。だから、原作通りにならないように、クレイヴがヒロインと出会うことがないようにと思って、接していたの。でもいつしか、彼がわたくしにとって、一番大切な人になってしまった。