転生脇役令嬢は原作にあらがえない
クレイヴがポーラつきになる前から、ポーラはたびたび花壇に足を運んでいた。それは単純に花が好きだからではなく、花の『品種改良』をポーラ自らがしているのだということだった。花びらの形や色味を、複数のものを掛け合わせて狙って新しい花を作り出すというような試みは、この世界では馴染みのないものだ。二歳上のクレイヴは、はじめ説明されても一度で理解することができなかった。それをわずか五歳の少女がしているのに驚く。
「このお花はね、もともと毒があったのよ」
「毒!?」
「うん。でも花が綺麗でしょう? だから、毒が抜けるように改良してみたの」
笑って言って、ポーラは手元の花を摘んでクレイヴに差し出す。
「ほら、クレイヴの瞳みたいに綺麗な青。だいすきなの」
えへへ、と笑って見せたクレイヴはどきりとする。まるで自分に告白されたかのようで頬が熱くなった。
「ぼくも……好きです。その、花」
そっと応えて、クレイヴはポーラの差し出した花を受け取る。
こうした花の品種改良のようなことを含め、ポーラはクレイヴに様々な驚きを与え、その度にクレイヴはポーラに強く惹かれていった。
けれど、執事が伯爵令嬢と結ばれるような未来はない。だから、都度ごとにポーラが「だいすき」だと言ってくれるのに、「お慕いしております」と答えても、彼女を抱き寄せることは絶対になかった。いつしかそれも彼女は理解したのだろう、ポーラが想いを告げなくなったが、クレイヴの中から彼女に対する想いが消えることはなかった。
転機のきっかけは、彼の魔力の目覚めである。
ポーラの目の前で魔力を開花させたクレイヴの胸に浮かんだのは『これでお嬢様の品種改良をお手伝いできる』ということだけである。しかし、ポーラはそう思わなかったらしい。
「クレイヴはわたくしとずっと一緒に居てくれるわよね? ずっと、離れないわよね?」
不安にかられたようなそんな声にクレイヴは驚く。
「魔力に目覚めたからそんな心配をしているんですか?」
「このお花はね、もともと毒があったのよ」
「毒!?」
「うん。でも花が綺麗でしょう? だから、毒が抜けるように改良してみたの」
笑って言って、ポーラは手元の花を摘んでクレイヴに差し出す。
「ほら、クレイヴの瞳みたいに綺麗な青。だいすきなの」
えへへ、と笑って見せたクレイヴはどきりとする。まるで自分に告白されたかのようで頬が熱くなった。
「ぼくも……好きです。その、花」
そっと応えて、クレイヴはポーラの差し出した花を受け取る。
こうした花の品種改良のようなことを含め、ポーラはクレイヴに様々な驚きを与え、その度にクレイヴはポーラに強く惹かれていった。
けれど、執事が伯爵令嬢と結ばれるような未来はない。だから、都度ごとにポーラが「だいすき」だと言ってくれるのに、「お慕いしております」と答えても、彼女を抱き寄せることは絶対になかった。いつしかそれも彼女は理解したのだろう、ポーラが想いを告げなくなったが、クレイヴの中から彼女に対する想いが消えることはなかった。
転機のきっかけは、彼の魔力の目覚めである。
ポーラの目の前で魔力を開花させたクレイヴの胸に浮かんだのは『これでお嬢様の品種改良をお手伝いできる』ということだけである。しかし、ポーラはそう思わなかったらしい。
「クレイヴはわたくしとずっと一緒に居てくれるわよね? ずっと、離れないわよね?」
不安にかられたようなそんな声にクレイヴは驚く。
「魔力に目覚めたからそんな心配をしているんですか?」