転生脇役令嬢は原作にあらがえない
 ひざまずいたクレイヴが、わたくしを見上げる。溢れそうになった涙を、わたくしはこらえて彼に抱き着いた。

「今度こそ、そばを離れたら許さないんだから」

「はい、私のお嬢様」

 クレイヴの腕が、わたくしの背中に回されて抱きしめ返される。その腕の強さが、これが夢ではないとわたくしに告げる。

 これは、原作小説になかった展開で、そばで咲く花は夢のように美しいけれど、紛れもない現実。わたくしは原作通りにならなかった世界をクレイヴと歩き始めるのよ。
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