前世を思い出した瞬間、超絶好みの騎士様から求婚されましたが、とりあえず頷いてもいいかしら?
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大きな花火が上がる。
(うーん。日本の花火の方が綺麗だったな)
ふとそんなことを考えたクラリスは、(日本?)と、戸惑ったように指先を口元にあてた。
瞬間、泉のようにあふれてくるのは、こことは髪色も顔立ちも違う世界の、懐かしい幼馴染との無駄話の風景だ。
小学生の時からの仲良し四人組。
クラリスこと莉子の隣に座るのは真央。正面には桜子と百花。
趣味もタイプも全然違ったけれど、喧嘩をしたりバカ話をしたりしながら中学高校大学とずっと付き合いが続き、その日はもうすぐ結婚する真央を囲んでの飲み会だった。
二十四歳。友達の中では一番乗りの花嫁だ。
いつものくだらない話で笑っていたその日は、なぜかコイバナではなく、読書とゲームが好きな真央の質問で盛り上がっていた。
『ねえ、もし異世界転生したらさ、とりあえず何する?』
その素っ頓狂な質問に呆れることもなく、他の面々が思い思いの答えをあげる。
『とりあえず? そうだなぁ。――あっ! テイマーになってモフモフ集めたい』
『さっすがトリマー。桜子らしいね。私はそうだなぁ。どうせ転生するなら乙女ゲームがいいな。で、自分がヒロインか悪役令嬢か確かめるの。どっちにしても美少女でいいよね』
『あはは、百花らしい。でもさあ、あんたの場合どっちになっても攻略イケメンのことガン無視して、可愛い女の子の恋愛相談とかしてそうじゃない。誰々さん、そんなんじゃ彼が振り向いてくれないわよ、まず服を買いに行こう! とか言ってそう』
『うっ! 絶対それやるわ。でもさあ、可愛い子が似合わない服着てるのとか、似合わないメイクしてるのとか、絶対もったいないお化け出そうじゃん』
『さすが百花姐さん。異世界転生したのでファッションアドバイザーになりますって感じになるね。可愛い女の子にもったいないオバケが付くなんて許せません、みたいな。ねえねえ、莉子は?』
真央に話を振られ、ニコニコして聞いていたクラリスに皆の目が向く。
クラリス……いや莉子は、乙女ゲームにもライトノベルにも興味がないから、正直なところどれもピンとこない。記憶を持ったまま転生するなら、普通に未来の日本がいいし、空飛ぶ車とか運転してみたいなんて思うから。でもみんなの話に水を差す気はさらさらなかったから真面目に考える。
(私なら? うーん、とりあえず何をするんだろう?)
(うーん。日本の花火の方が綺麗だったな)
ふとそんなことを考えたクラリスは、(日本?)と、戸惑ったように指先を口元にあてた。
瞬間、泉のようにあふれてくるのは、こことは髪色も顔立ちも違う世界の、懐かしい幼馴染との無駄話の風景だ。
小学生の時からの仲良し四人組。
クラリスこと莉子の隣に座るのは真央。正面には桜子と百花。
趣味もタイプも全然違ったけれど、喧嘩をしたりバカ話をしたりしながら中学高校大学とずっと付き合いが続き、その日はもうすぐ結婚する真央を囲んでの飲み会だった。
二十四歳。友達の中では一番乗りの花嫁だ。
いつものくだらない話で笑っていたその日は、なぜかコイバナではなく、読書とゲームが好きな真央の質問で盛り上がっていた。
『ねえ、もし異世界転生したらさ、とりあえず何する?』
その素っ頓狂な質問に呆れることもなく、他の面々が思い思いの答えをあげる。
『とりあえず? そうだなぁ。――あっ! テイマーになってモフモフ集めたい』
『さっすがトリマー。桜子らしいね。私はそうだなぁ。どうせ転生するなら乙女ゲームがいいな。で、自分がヒロインか悪役令嬢か確かめるの。どっちにしても美少女でいいよね』
『あはは、百花らしい。でもさあ、あんたの場合どっちになっても攻略イケメンのことガン無視して、可愛い女の子の恋愛相談とかしてそうじゃない。誰々さん、そんなんじゃ彼が振り向いてくれないわよ、まず服を買いに行こう! とか言ってそう』
『うっ! 絶対それやるわ。でもさあ、可愛い子が似合わない服着てるのとか、似合わないメイクしてるのとか、絶対もったいないお化け出そうじゃん』
『さすが百花姐さん。異世界転生したのでファッションアドバイザーになりますって感じになるね。可愛い女の子にもったいないオバケが付くなんて許せません、みたいな。ねえねえ、莉子は?』
真央に話を振られ、ニコニコして聞いていたクラリスに皆の目が向く。
クラリス……いや莉子は、乙女ゲームにもライトノベルにも興味がないから、正直なところどれもピンとこない。記憶を持ったまま転生するなら、普通に未来の日本がいいし、空飛ぶ車とか運転してみたいなんて思うから。でもみんなの話に水を差す気はさらさらなかったから真面目に考える。
(私なら? うーん、とりあえず何をするんだろう?)
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