前世を思い出した瞬間、超絶好みの騎士様から求婚されましたが、とりあえず頷いてもいいかしら?

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 せめて毎日ニヤつけるくらい好みの顔とか、お姫様抱っこ余裕のがっちりした体格とか、うっとりできるくらいの要素はほしいじゃない?

(うん、ちょうどあんな感じの……)

 戻って来たマルゴからカップを受け取り、ふと正面を見たクラリスは、酒場の表に出しているテーブルで酒とゲームに興じている、非番の騎士らしきグループに目をやった。

 騎士だと分かるのは、非番でもそれとわかるよう、二の腕に巻いたスカーフのおかげだ。色が赤なので、町の警護ではなく町の外の魔獣担当なのだろう。

 どの男も細さとは無縁のがっちりとした体躯で、クラリスから見れば、正直言って皆カッコいい。

(そうなのよ。男はやっぱりああじゃなくちゃね)

 ほっそりしていても理知的なメガネ男子は割と好物だ。でも基本はやっぱり、がっちりした男が好き。すっぽり抱きしめてもらうと安心するような、そんな人がいい。

 そんなことを考えながら果汁をちびちび飲んでマルゴと花火を見ていると、彼らの会話が風に乗って聞こえてきた。
 どうやらゲームが終わり、負けた人が罰ゲームをするようだ。

 彼らの話す罰ゲームのルールは簡単だ。箱から色々な単語を書いた札を皆で一枚ずつ引いて、負けた人がそれを行う。数百年前からあるありきたりなもの。
 そこで負けたらしい男が引いた札の内容は、茶髪、茶色の目、クリーム色の花の髪飾り、求婚の四つだったらしい。

(わお、その色の組み合わせって私の事じゃない)
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