【番外編更新】虐げられた私の身代わり婚約、そして見つけた幸せ
 ――その後、あの一件の、その後の顛末を星々の瞬きの下で、公爵様は静かに語ってくれた。
 現在、伯爵卿と協力者達、そして彼らの家族達は王宮内に囚われているという。

 国宝鏡と私の誘拐を目論んだ首謀者であるディロン伯爵卿は、毒杯を賜ることになるだろう、とのことだった。そしてディロン伯爵家は子爵家に爵位を落とし、存続するらしい。
 存続が決まった理由は、この件で動いていたのがディロン伯爵だけだったからだ。伯爵の嫡男はそのことに気がついており、宰相様へと事前にお目通りを願っていたことから、他の者に罪は問われることがなかった。
 ただ、末娘のエルシーだけは……公爵様との婚約が絶望になったとの話を聞かされて、理性を失ったのだとか。まるで壊れたおもちゃのように――公爵様の名前を呼び続けているようだ。
 見かねた彼女の兄である嫡男……現子爵は、エルシーを修道院へ送ることを決意したそうな。

 エルシーは、本当に公爵様を愛していたのだな、と思う。その感情を父親に利用された……いわば被害者だ。
 
 私がエルシーと顔を突き合わせて話していれば。
 きちんと貴族令嬢としての教育を受けていれば。
 誰かが隣でエルシーを見守っていれば。
 
 たらればの話になってしまうけれど、彼女を救えたのではないか。そう考えることすら、彼女にとっては余計なお世話かもしれないが。
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