【番外編更新】虐げられた私の身代わり婚約、そして見つけた幸せ
その後皇族の皆様が入場し、陛下が開会のお言葉を述べる。
 盛り上がりが最高潮に達した時……陛下は右手を挙げた。その瞬間、一瞬で会場が静寂に包まれる。
 
 「皆の者、平穏無事にこの場に集えたこと、深く感謝する。このたび、ついに皆へ国宝鏡のお披露目が可能となった」

 陛下の言葉に、周囲から歓声が上がる。国宝鏡のお披露目は前代未聞である。初代皇帝が隠していたお宝に、貴族全員の目が釘付けだ。陛下が後ろを一瞥すると、ワゴンに載った国宝鏡が現れる。鏡には布がかけられており、全員が今か今かとその時を待ち侘びていた。

 鏡が陛下の前にあるテーブルの上へと置かれる。従者が階段を降りてしばらくしてから、彼は声を上げた。

「さて、我が国の国宝をこの目でとくとご覧あれ」

 その言葉と同時に陛下は布を持ち上げる。すると、そこには側から見たら少し古ぼけた鏡が置かれていた……まあ、偽鏡ですが。陛下は意気揚々とその鏡を持ち上げる。するとその瞬間、鏡が淡い光を放ち始めた。

「あれが……!」
「何と美しい……!」
「神々しいわね……」

 次々に貴族たちの声が上がる中、陛下は鏡をテーブルに置いてから、手を左から右へと動かした。その瞬間、貴族たちは一斉に口を閉じる。

「この鏡は我が祖母である太皇太后(たいこうたいごう)の予言によって判明した国宝だ。太皇太后の予言によると、この鏡は初代皇帝の血筋に反応するようだ。我が国は建国して三百年ほどではあるが、初代皇帝の血筋がここまで受け継がれている。そしてそれを支えたのは、言わずもがな我が臣下である皆の存在があったからだ! 余は皆に感謝を述べよう!」
 
 何度目の盛り上がりだろうか。
 今までにないほど大きい歓声が広間内に響き渡る。ほぼ全ての貴族たちが両手を挙げて喜んでいる中、幾人かは喜んでいる振りのように見える者たちが何人かいる。その中にはもちろん、ディロン伯爵卿もいた。

 私で分かるくらいだ。壇上にいる皇族の皆様なら、把握できるだろう。

 皇帝陛下は微笑みながら周囲を見回している。目は笑っているように見えるが、奥底に隠されている眼光は鋭い。
 ここで何人が帝国の敵と見做されるのか……私にはわからなかった。
< 92 / 109 >

この作品をシェア

pagetop