この夜の意味〜声にできない恋を隠したら、完全無欠な御曹司の本気スイッチ入りました〜(旧:RISKY〜不敵な御曹司との恋は避けるべき〜)
彼女なら〜side宗高〜
自分からリスク管理を頼んでいるくせに、心から信頼できる彼女となら、いっそのこと世間に「バレてもいい」と思ってしまう卑怯な気持ちが、ある時から現れ出した。

「そんな感情なんて生まれるわけない」

まるで自分に言い聞かせるように強がったその言葉には、彼女を少なからずそういう目で見ているという意思表示も、含まれていたかもしれない。

「私たちの間で、それだけは絶対にありえない」

でも彼女の返事は、分かり切っている現実をしっかりと突きつけるものだった。振り返れなかった、気の利いた言葉さえ返せなかった。

その一言に感情が動いたと知られてしまえば、「リスク管理」という彼女と僕を繋ぐ唯一の名目すら、消えてなくなってしまうから。

少しでも長く居たくてわざとダメ出しをした。ただネクタイの結び方を教えていただけなのに、無関心に見えるように必要以上に距離を近づけたりもした。

こんな行動ばかりしていて、彼女に怪しまれるだけなのは、自分でも分かっている。でも、これまで彼女とどう接していたか、それがもうよく分からないのだ。

僕はとにかく車内に避難してきた。僕が女性に慣れていないだけだろうか。彼女は自分のことを「女っ気」がないというが、僕には全くそうは見えないのだ。

少し…彼女と近くなりすぎたのかもしれない。きっとまた、彼女のいない時間が増えれば、また僕も彼女を「部下」として見れるようになるはず。そう思って休みを与えたが、たった3日間がこんなにも長く感じられるなんて……。

彼女は無事やれるだろうか。彼女に危険はないだろうか。彼女ならきっと上手くやるだろうに、常にそんな必要のない心配が僕をつきまとう。
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