この夜の意味〜声にできない恋を隠したら、完全無欠な御曹司の本気スイッチ入りました〜(旧:RISKY〜不敵な御曹司との恋は避けるべき〜)
こんなにも、頬を赤く染めて、一人で凍えながら寒さに耐えて…。彼女はなぜ、僕にここまでしてくれるんだろうか。僕は彼女の優しさに触れすぎて、少し自惚れていたのかもしれない。もしかしたら彼女も…と。

「まだ何か知りたいことがあるんじゃないのか?」

僕を見ようともしなかった眼差しは、何か覚悟を決めたように、僕の顔をじっと見つめている。そして、柔らかな唇の感触が、その答えとして返ってきた。

彼女の表情が、まるで不本意のような、苦々しいものではなかったら、僕はその感触を素直に受け取れていただろうか。

《話題になるだけ良かったじゃないか》

忘れてしまおうと蓋をしたはずの、先代の言葉がなぜか僕の頭にはポッと浮かび、彼女から離れろと指示を出す。きっとこれも彼が言う「話題づくり」なんだ……。

僕の恐れが正しいと言わんばかりに、彼女が話してくれたのは、たった一言だけだった。

「もう、来なくていいよ」

こんな嘘を吐き捨てるしかなかった。一言一句、本心とはまるで違う。ずっと一緒にいたい。本当はそう言いたくてたまらない。そう言うつもりだったのだから。

とことん臆病な僕は心から愛する女性を、最後まで信じ抜くことすらできないみたいだ。
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