この夜の意味〜声にできない恋を隠したら、完全無欠な御曹司の本気スイッチ入りました〜(旧:RISKY〜不敵な御曹司との恋は避けるべき〜)
なぜ、そこまで〜side宗高〜
三日ぶりに彼女の姿が見えたとき、思わず嬉しくなって、手を挙げて自分の存在を合図しようとしてしまう。でも始めから彼女の視界には僕がいない。
そうだ、彼女は僕に会うためではなく、僕を守るために、ここに来てくれているのだから。僕は中途半端に動かしたその腕を元の場所にそっと下ろした。
目の前に大事な取引相手がいるのに、頭の片隅ではずっと彼女のことを考えている。隙があればグラスに口をつけるふりをして、彼女の姿を追いかけた。
すると彼女は僕がいる方向に、小走りで向かってくる。そんなに切羽詰まった顔をして、一体どうしたのだろう?でも彼女の視線の先に、やはり僕はいない。僕もまるで彼女に気づいていないふりをして、視線を目の前の相手に集中させる。
すると「バシャ」と何かが飛び散る衝撃音が耳に響き、咄嗟にその音の方向を見ると、僕をかばうようにずぶ濡れの彼女が立ちはだかっていた。
「社長はそのまま続けてください」
目の前の彼女は泣きも怒りもせず、ただ淡々と指示するようにそう伝えて、会場の外へと消えていく。
彼女の言わんとしていることは、僕にも分かる。今、表立って追いかけると、彼女にとって面倒なことになるのは、僕だって分かっている。でも、やっぱり僕には無理だ。
「すみません。少し、酔ったみたいで…」
そう相手に角が立たないように説明をして、僕は彼女の後を追うように、会場の外に出た。でも、もう見える先に彼女の姿はない。
「あの、ワインで服が濡れた人、見てませんか?」
「ああ、先ほどお部屋をお貸ししましたよ」
「…鍵、貸して貰えますか?」
こんなことをして、彼女の希望とは逆らった方向に向かっていることぐらい、僕も理解している。
それでも、彼女のあの寂しい背中を最後に見ておいて、一人にさせておくことなんて僕にはできない。
エレベーターなんて何度も乗ってきているのに、今日は苛立ちを感じるほど、やけに長い時間に感じた。こんなに早く目的地まで着いてほしいと思うのは初めてだった。
そうだ、彼女は僕に会うためではなく、僕を守るために、ここに来てくれているのだから。僕は中途半端に動かしたその腕を元の場所にそっと下ろした。
目の前に大事な取引相手がいるのに、頭の片隅ではずっと彼女のことを考えている。隙があればグラスに口をつけるふりをして、彼女の姿を追いかけた。
すると彼女は僕がいる方向に、小走りで向かってくる。そんなに切羽詰まった顔をして、一体どうしたのだろう?でも彼女の視線の先に、やはり僕はいない。僕もまるで彼女に気づいていないふりをして、視線を目の前の相手に集中させる。
すると「バシャ」と何かが飛び散る衝撃音が耳に響き、咄嗟にその音の方向を見ると、僕をかばうようにずぶ濡れの彼女が立ちはだかっていた。
「社長はそのまま続けてください」
目の前の彼女は泣きも怒りもせず、ただ淡々と指示するようにそう伝えて、会場の外へと消えていく。
彼女の言わんとしていることは、僕にも分かる。今、表立って追いかけると、彼女にとって面倒なことになるのは、僕だって分かっている。でも、やっぱり僕には無理だ。
「すみません。少し、酔ったみたいで…」
そう相手に角が立たないように説明をして、僕は彼女の後を追うように、会場の外に出た。でも、もう見える先に彼女の姿はない。
「あの、ワインで服が濡れた人、見てませんか?」
「ああ、先ほどお部屋をお貸ししましたよ」
「…鍵、貸して貰えますか?」
こんなことをして、彼女の希望とは逆らった方向に向かっていることぐらい、僕も理解している。
それでも、彼女のあの寂しい背中を最後に見ておいて、一人にさせておくことなんて僕にはできない。
エレベーターなんて何度も乗ってきているのに、今日は苛立ちを感じるほど、やけに長い時間に感じた。こんなに早く目的地まで着いてほしいと思うのは初めてだった。