雨宮さん家の大型犬〜飼い主は最愛のわんこを何時でも愛でていたい〜
「あー頭痛い」
夢にまで、しーちゃんと遠藤さんの二人並んだシーンが出て来て、痛みが胃痛から頭痛へとシフトチェンジした。
いや、これは心の痛みかもしれないけれど。
むっくりとベッドから起き上がり、気怠い目を他の教室よりもやや大きめな壁時計にやると、其処には4限の終わりを告げる位置に針がある。
確か、私の受けたかった古典、今日じゃなかったけか…?
くしゃくしゃ
髪を指で乱暴に梳いて、
「あーぁ。もう…。本気でサボっちゃったし…」
と、呟いた。
でも…クラスに戻ったらあの小娘(言い方)が、しーちゃんにまた纏わりついてるのを見なくちゃいけないなんて…やだなー。
私、こんなに心狭かったのか…。
ズシン、とやって来た頭痛に頭を抱え、ベッドから降りて溜息を吐く。
拗らせたいんじゃなくてさ。
その、気を抜けば誰にでもキラッキラな笑顔を向けちゃうんじゃないかと、思ってしまう。
だって…しーちゃんてば、あの子のこと名前でしかも呼び捨てしてるし…。
それって、私だけの特権じゃなかったの…?
と…そこまで思ったら少しだけ泣きたくなった。
「今日は、もうこのまま帰ろっかな」
ぽつり、呟いて、溜息を溢した。