家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
「ご購入ありがとうございました!」

 店主に助けてもらいながら買い物を済ませたギルバートはリュダの元へ足早に向かう。

「……あの、ギルバートさん」
「何だ?」
「すみませんでした、私の服を買って頂いたのに顔すら上げなくて……」
「そんな事は気にしてない。伏せていろと言ったのは俺の方だからな」
「……でも、」
「何でも無理にしようとする事は無い。ほら、リュダに乗れ。続きは家で話そう」
「はい」

 そしてリュダの前までやって来たギルバートはエリスに再度リュダへ乗るよう促して、早々に市場を後にした。

 それから更にリュダを走らせる事約一時間、辿り着いたのは町の外れにある、木々に覆われ緑豊かな場所に建つ小さな山小屋のような建物で、

「着いたぞ、ここが俺の住まいだ」

 ギルバートが一人で住んでいるという家だった。

「先に中へ入っていてくれ。俺はリュダに餌と水をやってくる」
「は、はい」

 リュダから荷物を降ろしたギルバートはエリスにその荷物を託して先に中へ入っているよう促すと、自身はその隣にある馬小屋へリュダを繋ぎに向かった。

「……お邪魔します……」

 誰も居ないと分かってはいても無言で入るのも憚られたエリスは一言断りながら扉を開けて中へ入って行く。

 小屋の中にはテーブルやイスとキッチンスペース、奥の方にシャワールームとお手洗い、そして別に一部屋、ベッドや洋服ダンスが置かれた寝室がある。

 全体的には狭めだけど、一人暮らしならば何ら問題も無い至って普通の家だった。
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