家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
「エリス、どうした? そんなところで立ち止まって」
「あ、いえ……」
「まあいい」

 リュダに水と餌をやって来たギルバートは家の中へ入ってくると、エリスに持たせていた荷物を受け取り、先程買った服や肌着類をテーブルの上に出して行く。

「あっちの洗面所で好きなのに着替えて来い。そうしたら傷の手当てをするから」

 そして、好きなものに着替えるようエリスに伝えると、自身も着替えをするのか寝室へ入り、纏っていた肩鎧や、両腕に付けていた籠手(こて)を外して床に置き、着ていた服を脱ぎ始めた。

 エリスがチラリとギルバートの方へ視線を移すと、彼の背中や脇腹、肩付近にも大きいものから小さい刀傷ようなものが付けられているのを目の当たりにして、思わず手にしていた服や靴を足元に落としてしまう。

 そして、それに気付いたギルバートと目が合った。

「あ、す、すみません! 覗き見るつもりは無くて!!」

 見ていた事を咎められると思ったのか、エリスは慌てて落とした物を拾いながら謝った。

「別に構わない。寧ろ、こんな物を見せて悪かったな」
「いえ、そんな……」
「顔もそうだが、この傷が気になるか?」
「いえ……」
「構わねぇよ。顔の傷も身体の傷も、昔、殺されかけた時に付けられたものだ。もうだいぶ昔だからな、痛みも無い」
「殺され、かけた……?」
「ああ。お前のその腕の傷も、そうなんだろう?」
「え?」
「その腕の刀傷は、咄嗟に身体を守ろうとして出来た傷じゃないのか?」

 エリスは驚いた。

 腕の傷を見ただけで殺されそうになったところを守ろうとして出来た傷だと見破られた事に。
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