家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
 何でもそつなくこなしてしまうギルバート――彼は何者なのだろう。

 髪を切って欲しいと願い出たエリスは自身の髪が切られていく中、ボーっとそんな事を考えていた。

 あれから早速髪を切るのと染める為の準備を始めたギルバート。

 外に椅子を置いて、エリスの身体に布を羽織らせてその工程は行われていた。

 カラーリング剤も自らで調合するようで、様々な薬品などの入った小瓶を用意したギルバートは髪を切る手付きも上手く、躊躇いも一切無くエリスの髪にハサミを入れていく。

 はらりはらりと落ちていく髪をジッと見つめるエリスは、今自分がどんな髪型になっているのか密かに気になっていた。

 髪を切り終わると、そのまま染める工程に移る。

 天気も良く、気温もそれ程高くない今日の気温はただ座っているだけのエリスにとって心地良いもので、時折吹いてくる微風が気持ち良くて、彼女はいつの間にか眠りの世界へ誘われていた。

「――ス」
「……んん……」
「エ――……ス」
「ん……、」
「エリス、起きろ、エリス」
「――ッ!」

 うたた寝をしていたエリスは自分を呼ぶ声に気付き、ようやく目を覚ます。

「す、すみません! 私寝て……」
「構わねぇよ。ただ座ってるだけじゃ眠くもなるだろ。それよりも、終わったぞ。ほら、鏡だ」
「あ、はい!」

 寝てしまった事を謝罪するエリスに気にしていない事を告げたギルバートは少し大きめの鏡を手渡した。
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