家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
 鏡を受け取ったエリスは出来上がった髪型を見てみると、

「うわぁ、凄い! 別人みたい!」

 長くウェーブがかった栗色の髪は、肩よりも少し上の方まで短くなったウェーブがかったボブヘアスタイルになり、色も暗めの茶色に染まっていた。

「少し短くし過ぎたか?」
「いえ、大丈夫です。この方が私だって分からなさそうですし」
「そうか。お前は長い髪も似合っていたが、短いのも似合うな」
「そう、でしょうか?」
「ああ」
「ありがとうございます」

 "似合う"と言われたエリスは素直に嬉しく、自然と笑みが溢れた。

「ギルバートさんは、やっぱり髪はご自分で切っていらっしゃるんですか?」
「ああ。伸びてきたと思ったらすぐに切っているから、形は変わらない。色も、過去に染めてからずっと同じ色にしている」
「ギルバートさんも染めていらっしゃるんですね。とても自然なお色だから、地毛なのかと」

 ギルバートは傷を隠すつもりが無いのかスッキリとした短髪で、色は光沢のある漆黒。

 そんな彼も元は別の髪色だった事を知ったエリスは元の髪色が知りたいと思ってしまう。

 けれど、あまり髪の話題に触れられたくないのか、特に興味も無いのかギルバートは黙々と片付けに勤しんでいた。

 結局髪色を聞けずじまいだったエリスだけど、いつか聞く機会があれば聞いてみようと気持ちを切り替えると、これから街へ出向くのでギルバートよりも先に出掛ける準備を済ませてしまう事にした。
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