家族に裏切られ全てを奪われた私は、辺境地に住む強くて心優しい彼に出逢い、沢山の愛と優しさに触れながら失ったモノを取り戻す
「……あ、すみません、大丈夫です」
「表情を見る限りそうは思えない。無理はするなと言っただろう? 昼食がて少し休憩しよう」

 リュダから降りたギルバートは木陰で昼食を取りながら休憩しようと、元気の無いエリスに手を差し伸べた。

 木陰に並んで座り、市場で買って来ていたパンを食べながら、心を落ち着かせていくエリス。

「……分かってはいたけど、自分が死んだ事にされるのは、複雑だなって思いました」
「まあ、そうだな、生きているのに亡くなった事にされるというのは、何とも言えない気持ちだろう」

 ようやく気持ちの整理がついたらしい彼女は胸の内をギルバートに明かしていく。

「シューベルトたちは、本当に私が死んだと思っているのでしょうか?」
「まあ、可能性がゼロでは無いからな。寝込みを襲われ何も持たずに逃げた。しかも腕に傷を負っていたし、逃げたところで格好も格好だったから人前にも出れず、何処かで野垂れ死にするかもしれない……と。だが生きている場合も考えているとみていいだろうから、表では病死と発表しているが死体が見つからない限り捜索は続けるはずだ」
「……もし見つかれば……」
「まず間違い無く殺されるだろうな」

 一度は殺されかけ、逃げ出したら表では死んだ事にされてしまった上に、まだはっきり死んだと分かっていない段階で捜索を打ち切る事はしないとみているギルバートは、見つかれば即殺されるだろうと言った。

 そんなギルバートの言葉にエリスが身震いすると、横並びに座っていたギルバートはエリスの肩を抱いてそのまま自身の方へ引き寄せた。
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