奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 そして、今エリュシアが暮らしている離宮を与えられた。
 クラニウス王国は国土が狭く、目だった資源もない。
 その代わり、代々の国王は政略結婚で子供を国外に嫁がせ、彼らの援助で国を最低限維持してきた。
 そんな事情もあり、国王が正妃の他に側妃を持つのは積極的に認められている。正妃の他に何人もの側妃を抱えているのは、たくさんの子供をもうけるためだ。
 そして、多数いる側妃は、母以外は全員貴族の出身。
 おまけに、王子が四人、王女が七人の子だくさん。
 平民の娘で、一番年下のエリュシアの扱いはどうしても軽くなる。それが、使用人の態度にまで影響しているらしい。
 母が生きていた頃は他にも何人か使用人がいたのだが、今となっては侍女頭――他にいるのは、下働きの者ばかり――のマルタがすべてを引き受けている。
 今度はガチャガチャと食器がぶつかり合う音を立てながらワゴンを押してきたマルタは、テーブルの上に朝食を並べていく。そして、そのままエリュシアを監視できる位置に立った。
 いつものことなので、エリュシアはその態度に文句を言うことなくテーブルに着く。

(……ぬるいわ)

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