奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 運ばれてきたスープとパンの朝食は、とてもではないが王女に出していい食事ではない。
 本来の食事はマルタが食べてしまい、エリュシアに回ってくるのは使用人の食事だった――ということを、今になって思い出した。
 実際、母が亡くなって使用人の食事が運ばれてくるようになった頃、「美味しくない」と口にしたら丸一日食事を抜かれた。
 兵糧攻めにされたとしても、今のエリュシアに対抗する術はない。文句も言わずに、出された食事を口に運んでいく。

(……どうやら、夢ではなさそうね)

 食感も温度も、しっかり本物の感触だ。
 マルタに見張られながらの食事が終わると、マルタは口を開くことなく食器を片付け、ワゴンを押して出ていく。
 彼女が姿を消したのを見計らい、エリュシアははぁっとため息をついた。
 どうやら、本当に過去に戻ってきてしまったらしい。
 となると、思い起こされるのは未来のことだ。

(ディーデリック様は、あれからどうなったのかしら……)

 彼は、父親の行いをよしとはしていなかった。
 皇帝は、自分の思うままにふるまった。気に入らない者は容赦なく殴り、蹴り、首を刎ねられる者さえもいた。
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