奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「では、ある程度勉強していただきましょうね。なに、エリュシア様ならばすぐに宝石を見る目は養えるでしょう。商談の方は――まあ、いずれ、おいおいと」

 エリュシアを一人前の商人にする勢いで鍛え上げてくれるらしい。
 たしかに貴族社会に出入りするならば、そのぐらいしなければならないのだろう。
 生半可な知識では、商人には太刀打ちできない。
 ――こうして、一行は動き始めた。
 最終目的地ははるかに遠い。
 けれど、一気に攻めるのではなく、一歩一歩進んでいくならば、きっといつかは到着できる。

 エリュシアの生活の場は、従業員の寮からトーマスの屋敷の一室に変更された。
 これは、エリュシアを守るための措置だが、屋敷の使用人達に『専属職人の引き抜きを警戒してのもの』と説明されている。
 もともと『エリア』として平凡に生きていくつもりだったから、寮の生活で問題ないと思っていたが、トーマスとしては不安もいろいろあったらしい。
 それに、『エリア』と、商人見習い――『リア』と名乗ることにした――が、同一人物であると知られる可能性を小さくするためにも、屋敷の方が都合がよかった。
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