奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 完成品にははるかに遠いものもあるが、母は時間さえあれば魔道具の設計を行っていたようだ。
 母が亡くなってから十年近くたっているから、母が書き溜めていた設計図の中には似たような魔道具がすでに発明されているものもある。
だが、また世に出ていない画期的なもの、すでに存在していても母の設計の方が優れているものもたくさんあった。
 もし、父の後宮に入っていなかったら、母はきっと魔道具師として名を遺していたに違いない。これだけの発想力と、設計できるだけの技能を兼ね備えていたのだから。

「魔道具師ギルドの資料は、門外不出のものもたくさんあるんですって。それを見せてもらう予定」
「俺は、明日はこちらには来られない。皇太子としての仕事が終わったら、禁書庫を調べてみるつもりだ」
「……気を付けて」

 禁書庫に入るためには、危険を冒さねばならないだろう。
 ディーデリック自ら動くのに不安を感じないわけではなかったけれど、これ以上仲間を増やせないという事情もある。

「大丈夫だ。俺を信頼してくれ」
「……はい」

 そんな会話を交わして、また、互いの勉強に戻る。
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