奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 だが、誰も彼には逆らえなかった。彼にはそれだけの力があったし、ひそかに彼を弑そうとすれば、どこからか計画が漏れた。
そんな中でもディーデリックは、少しずつ皇帝から権力を奪うように動いていたはずだけれど――。
 長年帝国を牛耳ってきた彼の影響力は大きく、ディーデリックが帝位を奪うにはまだまだ足りないものがたくさんあった。

(こうやって冷静に考えれば、おかしな点はいろいろあったわ……)

 嫁いだばかりの頃は気づかなかったが、六十過ぎて三十代に見える若々しさを保っているのがおかしい。もしかしたら、悪魔かなにかと契約していたのかもしれない。
 ――なんて、考え過ぎか。

(とにかく、今は私にできることをやるべきよね……)

 立ち上がったエリュシアは、デスクに向かって腰を下ろした。改めてデスクの引き出しから日記を取り出して読みふける。
 母が亡くなってから、エリュシアの生活は大きく変化した。
 めったに国王のお渡りがなく、他の女性達と比べれば明らかに低水準ではあったけれど、ふたりにはそれなりの品格を保てるだけの金銭は支給されていた。
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