奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 着用者本人の魔力で補えるため、魔道具使用が禁止されている場所でも着用できる。

「……私も付けてみていいかしら」
「もちろんでございますとも」

 侍女は外したそれを丁寧に拭き、自ら主の身に付けていく。最後に手鏡を渡された伯爵夫人は、「まあ!」と驚いた声を上げた。

「とても美しく見えるわ!」
「奥様のお美しさを、より輝かせただけでございます」

 商人見習いとしてのエリュシアは、丁寧に頭を下げた。
 宝石の目利きでやり手の商人達に対抗するには、まだまだ学びが足りない。
 だが、そこに魔道具ならではの価値が加われば、そこはエリュシアの強みとなる。

「まあ、いいわね。これ……でも、揃いでなければならないのかしら?」
「はい。上半身を美しく見せるには、すべて付けていただく必要がございます」

 夜会でまとう服は、女性の場合露出が高くなる。耳飾りは顔を、首飾りは首から胸元を、そして腕輪は手を輝かせるためのもの。
 いろいろ工夫はしてみたのだが、どうしても揃いでないと効果を発揮してくれなかった。

「そう、たしかにこれは――買い求める価値があるわね」
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