奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 一度目の人生では、この国に来てからもエリュシアに自由はなかった。出歩くことを許されていたのは、離宮とその周辺程度。
 一年前、某伯爵家に初めて肌を美しく見せる魔道具を売り込みに行った時のことを思い出す。あの時伯爵夫人は、妃達が姿を見せなくなったと言っていた。
 不思議なことに、離縁して実家に戻ったとされている妃達の中にも、その後の行方が知れない者がいる。

(恥ずかしくて、社交の場には出られないのではないかという話だったけれど……)

 たしかにそれも考えうる状況のひとつではある。
 皇宮に側妃として嫁ぎながら、離縁で生家に戻された。貴族ならば、それを恥と思う者も多いだろう。
 恥じているのならば、社交の場に顔を出さない理由にもなる。
 だが、領地に戻ったとか、家の中で隠れるようにして生活しているとか。そういう噂もほとんどないのはおかしい気がする。

(……ディーデリック様は、お元気にしてるかしら)

 それにしても思い出されるのは、ディーデリックのこと。
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