奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 と、口走ったのは、そこに書かれていたのは魔道具を作るための素材だったからだ。
 魔物に由来する素材が圧倒的に多いが、使いどころが難しく、エリュシア自身まだ扱ったことのないものが大半だった。

「素材を見ただけでまがまがしいな」

 八個の頭を持つヒュドラ、様々な魔物を寄せ集めたような姿をしているキメラ、グリフォン、黒いドラゴンなど、そこには入手するのが難しい素材がずらりと並んでいる。
 普通ならば、これだけの素材を一度に集める必要もない。なにやら、大掛かりな魔道具を作っているのであろうことだけはわかる。

「トーマスから話を聞いて、私も情報を集めたのですが、何を作っているのかまでわかりませんでした」

 それを聞いて、エリュシアは考え込む。

(……あの人は、どんな魔道具を作っていたのだったのかしら)

 一度目の人生、ドミニクと皇帝が共にいるのを見かける機会があった。だが、皇帝と宮廷魔道具師だ。
 ふたりが顔を突き合わせて話をしていても何ひとつ問題なんてないし、エリュシアがそこに口を挟めるはずもなかった。
 目の前にディーデリックがいるのだから、彼に聞いた方がよほど速い。

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