奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「それならば、私に研究成果を奪われそうで保護を求める、としたらどうかしら」

 と言ったシャリーンは悪い顔をしていた。微笑みを絶やさず彼女は続けるが、その笑みにはどこかぞっとしたものを感じた。
 ドミニクに対して、思うところがいろいろとあるのだろう。

「……師匠に研究成果を奪われそうになっている……ですか?」
「あの男、私を皇宮から追い払うだけでは物足りないだろうから。私を蹴落とすための情報なら、どんなものでも欲しいと思うの」

 シャリーンの言葉には、説得力があった。たしかにそれならば、ドミニクも『エリア』との面会を断らないかもしれない。

「では、私が手紙を届けましょうか。ちょうど、素材の納品がありますので」
「トーマスさん、お願いしますね」

 まずは、ドミニクに面会し、証拠をどこに保管しているのか探り出す。
 それを盗み出す機会があればいいけれど――それはまた、改めての機会を狙った方がよさそうだ。

 ドミニクとの面会は、エリュシアが予想していたよりもずっと早くに機会をもうけられた。なにしろ、トーマスが手紙を届けて三日後にはドミニクの工房に招かれたのだ。
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