奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 そのエリュシアに上から下まで視線を走らせ、ドミニクは思案の表情になった。どうしたらエリュシアを最大限利用できるのか考えているのだろう。

「それで、シャリーンに弟子入りしたのか」
「はい。トーマス様は、シャリーン様とも取引があったようで……長い間弟子はとっていなかったそうなのですが、トーマス様の推薦ならば、と」

 そこで、うつむく。
 付き添いとして、隣に座っているディーデリックが、喉から奇妙な声を出した。もしかしたら、演技過剰だっただろうか。

「ドミニク様、私からも一言よろしいでしょうか。主は、よかれと思い、魔道具師ギルド長に引き合わせたのです。最初のうちは問題なかったのですが……」

 ディーデリックも、若い学者としてあちこち出向いていたからだろうか。皇太子としてのふるまいを見事に隠している。
 声まで違っているのは、一時的に声を変える薬を飲んでいるからだそうだ。

「……おかしな話ではないな。トーマスも……まあ、選んだ相手は」

 ドミニクはごにょごにょと言葉を途切れさせた。
 本来口にしたかったのは、シャリーンの悪口だろうから、ここで口にしないと判断したのは正解だ。

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