奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 ぺこぺこと頭を下げたディーデリックは、それからいくつかの取り決めをして、ドミニクの工房を出た。
 工房を出たとたん、エリュシアはその場に崩れそうになったのをなんとか取り戻した。

(……笑いをこらえるのが大変だったわ)

 ディーデリックの商人としての演技、あまりにも完璧ではなかっただろうか。
 うっかり、彼の演技に笑ってしまうところで、後半は肩を震わせることしかできなかった。

「……よかったな、エリア。お前の努力は無駄にはならないよ」
「……はい」

 エリュシアの肩を抱いて、励ましているように見せながらディーデリックは馬車へと戻る。
 馬車に戻るなり、エリュシアははぁっと息をついた。
 最初は大物相手で緊張したし、後半は笑いをこらえるのに必死だった。

「……どうだ?」
「大切なものは、自室に隠しているでしょうね。工房や通された部屋には、怪しい気配は見受けられませんでした」

 魔道具師としての目線から、ドミニクがどこに設計図などを隠しているかを見ようとしていたのだが、ドミニクの工房にはなさそうだ。
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