奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「な、なんと。このようにはっきりと聞こえるのか」

 ドミニクが驚いたように目を丸くする。その間も、記録された会話は流れ続けていた。
『それと、こちらの設計図も見ていただけますか?』

 そして、会話は『こちらは、試作機がございます』というトーマスの声で締めくくられた。

「……便利なものではあるだろうが、これが必要となることはあるのか?」
「魔術師がいなくとも、会話を記録することができます。国同士の交渉事には、便利かと思われますが――我々は、もっと違う使い方もあると考えております」

 国同士で交渉する時には、記録のできる魔術師を同席させることが多いらしい。
 エリュシアは知らなかったけれど、あとで言った言わないのやりとりになるのを避けるためらしい。
 もちろん書類は取り交わすが、念のためにというわけで、魔術師を同席させることも多いのだとか。

「……こちらを」

 トーマスは、今再生したばかりの記録板を取り出し、あらかじめ用意しておいた記録板を差し込む。そこから流れてきたのは、優雅なピアノの演奏だった。

「……これは!」
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