奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 それからソファに再び腰を下ろし、そしてスカートを手で調える。自分が叫んだという事実を、なかったことにしたようだ。

「どういうことなのかしら? 話してくれる?」

 再び口を開いた時には、すっかり落ち着きを取り戻している。
 ぶるぶると震え、首を横に振っているトーマスの横で、エリュシアは口を開いた。

「宮廷魔道具師のドミニク様が、魔宝石類を集めているのです。もちろん、商会長も入手に全力を尽くしているのですが……なかなか、難しいんです」

 装身具に使っているのは、エリュシアの用意したものだが、魔銀や魔金が入手できなくなりつつあるのは事実である。それらをドミニクが買いあさっているのも。

「どんな価格でもあの方は素材をお買い求めになります。今は、魔宝石や魔銀や魔金を集めておいでのようで……」

 自分の連れていた見習いが口を滑らせたのをきっかけにトーマスも口を開いたように見せかける。大切なのはこれからだ。

「いくらあのお方が、宮廷魔道具師といえど、いくらなんでも購入し過ぎ……いえ、失礼いたしました!」

 ドミニクの悪口を言ってしまったのを取り繕うように、トーマスは手を振る。
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