奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 ドミニクの持つ財力がおかしいと噂になれば、彼の自室に入り、証拠を持ち出してくることもできるだろう。今、エリュシア達の手元にあるのは、あくまでも写しでしかない。

「……困ったものね。ドミニクには、私の方から融通をきかせるように言ってみるわ……聞いてくれればいいけれど」

 ふぅとため息をついた公爵夫人は、持参した品々についてはすべてお買い上げしてくれた。商人としてのトーマスと見習いとしてのエリュシアはにっこりである。

 * * *



 ディーデリックが魔道具師ギルドに呼び出されたのは、噂が充分広まったのではないかと思われた頃だった。
 近頃、宮中ではドミニクを見てはひそひそと囁き合う貴族が増えたのは、ディーデリックも把握している。

「さて、そろそろドミニクを引きずりおろしてやろうかしら。殿下、協力をお願いできますわね?」

 と、長い脚を組んでシャリーンは微笑む。
 美しいものを見れば美しいと思う情緒は持ち合わせているが、自分のものにしたいという気にはならない。彼の持つ宝飾品は必要最低限である。

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