奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「宮廷魔道具師もずいぶんいろいろやっているようだしね。トーマスもいい働きをしてくれたわ」

 素材の納品がらみでドミニクを揺さぶったが、それは思わぬ波及効果をもたらしたようだ。
 ドミニクに忠誠を誓っている宮廷魔道具師達は、ドミニクについてエリュシア達がばらまいた噂のように、商人達から賄賂を受け取っていたらしい。
 シャリーンは、この情報をもとにドミニク派の宮廷魔道具師達も宮中から一掃するつもりのようだ。

「殿下、録音機で録音はしますよ。必要なら、エリュシアにはそれを聞かせてやりましょう」
「エリュシアの耳が汚れる」

 真面目な顔でそう言ったら、「まあ」とシャリーンはくすくすと笑った。
 彼女の心を読むことは、ディーデリックにもできない。影で動き回っているのはわかっているが、それ以上のことは掴ませないのだ。

「では、殿下。こちらを活用なさいませ――」
「宮廷魔道具師達の怠慢も腹立たしいと思っていたんだ。これは、ありがたく使わせてもらおう」

 シャリーンとの打ち合わせを終えたディーデリックは、シャリーンに預けていた資料を受け取り、大急ぎで皇宮へと戻る。
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