奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 当初の想定では、宮廷魔道具師であるドミニクもこの場にいるはずだったが、彼は姿を消していた。どこでどう情報を入手したのか、ディーデリック達が宮中魔道具師達を捕らえ始めた時には、行方をくらませていたのである。

(……あいつの罪を暴くはずだったのだが)

 ドミニクが、皇帝に外には出せない魔道具を提供しているのをディーデリックは知っていた。
 だが、ドミニクがここにはいないというのなら、彼の居室をもっとゆっくり調べられるだろう。証拠は入手してある。
 魔道具師達を収監したディーデリックは、報告のために皇帝の元へと向かう。その足取りは重かった。
 皇帝が持つ魔道具をメンテナンスできるのは、今はドミニクだけのはず。もしかしたら、皇帝が先にドミニクを逃がしたのかもしれない。

(……まだ、あいつにはかなわない、ということか)

 だが、今はまだ目的を皇帝に気付かれるわけにはいかない。政務の間に入る前には、表情を忠実な息子のものへと改めた。

「ディーデリック。ドミニクが姿を消したというのは本当のことか?」
「はい、父上」

 父と呼ぶのもおぞましい。
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