奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 だが、今は本心を悟られるわけにはいかないから、敬っているように頭を垂れてみせる。
 時を戻す前は演技なんてできなかったのに、最近はすっかり演技がうまくなった。

「そうか――罪を犯したと報告があったが」
「……商人から賄賂を受け取っておりました。また、宮廷魔道具師としての研究費も、使い込んでおりました。彼の部屋で、帳簿の原本を入手いたしました」

 本当に欲しかったのは、彼の汚職の証拠ではない。彼が、どんな魔道具を作ってきたかの設計書だ。
 だが、宮中の工房から発見されたのは、明かりの魔道具だの入浴用の湯を適温に保つための魔道具だの、問題のないものばかり。あとは、『エリア』から入手した冷室機や、録音機、再生機などの設計書だけだ。

(……本当に危険な魔道具の設計書は、別の場所に隠されているのかもしれない)

 シャリーンから聞いた話では、設計書はどこかにかならずあるという。見つからない以上、身近なところではなく、秘密の場所に隠してあるのかもしれない。
 隠ぺいの魔道具などで隠している可能性もあるから、ドミニクの居室はあとでシャリーンにも調べてもらおうと決める。

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