奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 そう言うと、皇帝は驚くべき命令をディーデリックに下したのだった。

 * * *



 ディーデリックが魔道具師ギルドを訪問したのは、ちょうどエリュシアもそこを訪れた時だった。彼の顔を見たとたん、エリュシアはわずかに眉を寄せる。

「顔色が、よくありませんよ」
「……ドミニクに逃げられた」

 そう聞いて、エリュシアは表情を変える。
エリュシアと新しい魔道具の開発について話をしていたシャリーンも、すさまじい勢いで立ち上がった。

「逃げられた?」
「ああ。あいつを抑えられれば、問題解決に近づくと思っていたのだが……」

 シャリーンの裏返った声に、ディーデリックは頷く。
 ドミニクが姿を消したことに気づき、宮廷魔道具師達を徹底的に洗ったそうだ。だが、誰もドミニクがどこに行ったのかまでは知らないという。

「振り出しに戻ってしまいましたね……」

 ドミニクを捕まえていたら、一度目の人生でエリュシアの魂をどこかに閉じ込めた魔道具がなんだったのか、わかるだろうと思っていたのに。

(……また、怯えなければならないのかしら)

 きゅっと唇を噛む。
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