奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
シャリーンの方に目をやれば、彼女もうなずいていた。となれば、シャリーンもいけそうだと判断しているのだろう。

「魔道具の開発も急がねばなりませんね」
「こちらでも進めるけれど、王国にも工房はあるのでしょう? 必要な素材は、トーマスが届けるように手筈を調えておいたらどうかしら」

 今、シャリーンと開発を進めている魔道具は、切り札になるはずだ。母国に戻っている間も、できるところは進めておきたい。

 * * *



 ――その日、クラニウス王国が揺れた。
 死んだと思われていたエリュシア王女から、手紙が届いたのだ。
 あまりの境遇に、彼女は絶望し、川に身を投げた。捜索しても発見されず、王国では死んだと思われていた。
 この二年の間、王国ではそういうものとして認識されていた。簡素なものだが、葬儀も行い、側妃エルフリーダの隣に墓も建てられている。

「……なんと」

 エリュシアの父であるクラニウス国王は、面会を求める手紙を見てため息をついた。
 帝国の商人から、手紙が届いたのだ。エリュシアを保護している、と。
 帝国に行っていたのならば、いくら国内を捜索しても見つからないのは当然だ。

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