奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「……まあ、そうだったの」
「苦労したのね。エリュシア」

 デリアとザフィーラが、顔を見合わせている。彼女達は、心からエリュシアに同情している様子だ。彼女達も演技をしているのはわかっている。

「でも、私達があなたを苛めていたというのは、あなたの思い違いではないかしら?」
「そうよ。私も、お兄様も、あなたのいたらなさを指摘していただけだもの……ねえ」

 ザフィーラは、同意を求めるようにヴァルスに目を向ける。ヴァルスは、重々しくうなずいた。

「ああそうだ。忠告を受け入れられないというのであれば、それはお前の血筋がそう思わせるのだろう」

 ヴァルスの言葉に、エリュシアはまた肩を震わせた。

「……はい、反省しております」

 小さな声で、それだけを口にする。

(……この人達は変わっていないわ)

 うつむいたその陰で、きゅっと唇を引き結んだ。きっと、エリュシアが彼らの意にそわない行動をとれば、すぐにエリュシアを『消し』にかかるだろう。改めてそれを実感する。
 それぞれの思いをよそに、こうして父と娘の久しぶりの対面は終わりを迎えたのだった。

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