奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 エリュシアが滞在を許された――いや、再び暮らすよう命じられたのは、母と暮らしていた離宮だった。

「驚くほど変わってないわ。誰も手をつけていなかったのね」

 離宮は、エリュシアが出て行った時とほとんど変わっていなかった。
 カーテンや寝具が新しくされたぐらいだろうか。
 それ以外の家具はそのまま。あの日、エリュシアが持って行かなかった品々もそのまま残されていた。

「……メリアとお呼びくださいませ。私が、殿下のお世話をさせていただきます」

 トーマスに連れられて王宮に戻ったエリュシアに侍女はいない。そこで、王国側からつけられた侍女は、二十代後半と思われる女性だった。
 茶色の髪を上品な形に結い上げ、侍女の制服をきっちりと着こなしている。以前つけられていたマルタとはまったく違う、仕事のできそうな雰囲気だ。
 エリュシアについていたマルタは、エリュシアの母の遺品を奪ったこと、エリュシアの死の原因を作ったことから、エリュシアが王宮を出て数日後には処刑されたとメリアは教えてくれた。
王族の持ち物に手を出した段階で、この国では死刑になることが決まっている。

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