奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 材料が保管されている棚や箱を次々に確認していく。出てきたのは魔銀と魔金が少々。宝飾品を兼ねた魔道具ぐらいならば作れるだろうか。
 と、時計を見上げて気づく。
 そろそろ、マルタが昼食を持ってくる頃だ。部屋に戻っておかなければ。

「工房で何をしてたんです?」
「お母様の魔道具を整理していただけ」
「魔道具作りなんて、王族のすることじゃないでしょうに。でもまあ、生まれが生まれだからしかたないんでしょうね」

 亡くなった母のことを悪く言われても、反論すらできない。今の自分の立場の弱さが恨めしかった。
 朝食と同じく冷えきった昼食を食べてから、母の工房に戻る。
 マルタには『工房の片付けをするから』と言っておいた。中から鍵をかけてしまえば、中で何をしているのかまったくわからない。

「よく考えてみたら、こうやって魔道具を作るのも久しぶりね……」

 母が亡くなってから沈み込んでしまい、工房に足を向けるのは空気を入れ替える時ぐらいだった。
 帝国でも小さな工房は用意してもらったが、ここ一年は工具に触れることもなかった。
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