奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 ついに、エリュシアの心がぷつんと切れた。
 男の子の手に飛びつこうとするのではなく、体当たりしたのだ。エリュシアに体当たりされるとは思ってもいなかったらしい男の子は、勢いよく転んで膝を擦りむいた。
『よくもやったな! 俺は、王太子なんだぞ』

『おーたいしって何よ! 私の大事な人形を取り上げたのはそっちでしょう?』

『体当たりしてくるなんて、本当に乱暴だな! お前がいるから、お前がいるから母上は――!』

 男の子の方も、一気に怒りに火が付いたようだ。立ち上がったかと思うと、エリュシアの横っ面をひっぱたいた。
 ただ、叩かれただけならまだよかったのだ。だが、あまりにも場所が悪かった。
 二人が喧嘩になったのは、池の側。エリュシアがよろめいたのを見た男の子は、さらにエリュシアを勢いよく突き飛ばした。
 その時の彼は、どちらに向いていたのか見ていなかったのかもしれない。
 けれど、エリュシアが勢いよく転がり落ちたのは、池の中だった。人工的に作られた池は、子供の足が届かないほどに深い。
『あああああっ!』

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