奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 表からは見えない場所に魔術回路が仕込まれており、ナイフで刺されても、火を向けられても、着用している本人は痛くも痒くもないという優れもの。
 この魔道具の存在を知れば、騎士や傭兵など戦いの場に身を置いている者達は喉から手が出るほど欲しがるだろう。
 もっとも、彼らが使用するには、金銭的な面で問題が発生する。
ザフィーラは、表面の美しさしか気づいていないだろうが、ザフィーラがまとっているドレスよりも実は高価な品なのだ。

「トーマスは、優秀な商人なのですよ。王宮にひとり戻る私のことを気遣ってくれたのです」

 エリュシアが身に着けているのは、シャリーンが加工してくれた魔道具ドレスだけではない。首飾りと耳飾りは、エリュシアが作った『肌を綺麗に見せる魔道具』だ。
 エリュシアの容姿を、魔道具で底上げしているわけである。
 上から下までじろじろとエリュシアを見たザフィーラは、ふんっと鼻を鳴らす。
 どうやら、彼女の目には、『高品質過ぎてエリュシアにはふさわしくない品』と映ったようだ。面白くないと思っているのが、表情から伝わってくる。

(……この人、見栄っ張りだものね)

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