奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「……お異母姉様。私は、帝国でたしかに生活していましたが、トーマスは貴族ではなく商人ですよ? 直接殿下にお目にかかり、個人的な嗜好を知る機会などありませんでしたわ」
エリュシアとしては、当然のことを口にしたつもりだった。
ディーデリックは、トーマスの商会を訪れる時も、エリュシアが働いている工房を訪れる時も皇太子としての身分は伏せていたから、彼とトーマスとエリュシアの関りについて知っているのはシャリーンぐらいだ。
「本当に、役に立たないのね! なんのために帝国で暮らしてきたのかしら」
「記憶がなかったのだから、しかたないではないですか」
なんのためにと言われても。
ザフィーラにディーデリックの情報を伝えるためではないことだけは確実だ。とはいえ、何か情報を出さねば彼女は長時間ここに居座りそうだ。帝国では一般的なことでも教えておこうか。
「そうですね、帝国ではこのように言われていますよ。平民でも知っているようなことですけれど」
「なんでもいいのよ。ディーデリック様に関する情報は、何一つないんですもの」
エリュシアとしては、当然のことを口にしたつもりだった。
ディーデリックは、トーマスの商会を訪れる時も、エリュシアが働いている工房を訪れる時も皇太子としての身分は伏せていたから、彼とトーマスとエリュシアの関りについて知っているのはシャリーンぐらいだ。
「本当に、役に立たないのね! なんのために帝国で暮らしてきたのかしら」
「記憶がなかったのだから、しかたないではないですか」
なんのためにと言われても。
ザフィーラにディーデリックの情報を伝えるためではないことだけは確実だ。とはいえ、何か情報を出さねば彼女は長時間ここに居座りそうだ。帝国では一般的なことでも教えておこうか。
「そうですね、帝国ではこのように言われていますよ。平民でも知っているようなことですけれど」
「なんでもいいのよ。ディーデリック様に関する情報は、何一つないんですもの」