奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 そうやってメリアには下がっておいてもらい、エリュシア自身も王宮内を歩き回った。帝国からの賓客。どちらの王女が皇太子に嫁ぐことになるのかと、皆、興味津々で事態を見守っているようだ。
 王宮内にもエリュシアの生存を知らない人がいたので、機会があれば『エリュシア王女』についての噂もばらまいておいた。エリュシアに関する噂が増えれば、デリア達が何か行動を起こすのではないかと期待して。

 ディーデリックとの対面の場は、もちろん謁見の間だった。一応王女であるエリュシアも、その場に出席するよう命じられたのは、国王もエリュシアを無視するわけにはいかなかったからだろう。

「……ディーデリック・アルタイアだ。この度は、縁談の受け入れ、感謝する」

 使者を連れ、国王と対峙したディーデリックは、堂々として見えた。黒の正装が、彼の容姿を引き立てている。

「なに、こちらとしても帝国とは縁を繋ぎたかったから、大変ありがたい話だと思っている。姉が亡くなって以来、親交が途絶えがちだったからな」

 そういえば、クラニウス国王の姉――エリュシアから見れば伯母――にあたる人物も、帝国に輿入れしていたのだったか。
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