奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 だが、今すぐ用意できるドレスとなれば、ザフィーラの衣装室から持ってくるしかない。デリアや側妃達のドレスでは、エリュシアの年齢には似合わない。
 ザフィーラのドレスを横流しするのでは、ますます彼女の神経を逆なでする結果を招くだろう。
 エリュシアはそれでもまったく構わないけれど、この人はそれでは困るのではないだろうか。
 ――なんて、エリュシアの考えることではないか。

「しかし、宝石は品質が大切」
「ドレスは魔道具ですし、宝石は魔宝石ですわ、陛下」

 魔道具や魔宝石という言葉に、国王は眉を上げた。信じられなかっただろうか。

「トーマスは魔道具を商っているでしょう。その伝手で、魔道具としてのドレスや魔宝石を用意してくれましたの」
「あいつ、そんな繋がりがあったのか!」

 国王は忘れているのだろうか。母がトーマスと共にこの国に来たのは、魔道具の売り込みのためであったことを。
 というか、そもそもエリュシア自身が魔道具師として働いていたと王国には報告しただろうに。

「陛下、トーマスは私を心配してくれているだけですよ」

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