奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
「……王女に求婚するためにこの国に来たのだ。他の女性と踊るつもりはない」
今日のディーデリックは、謁見の時とは違うが、黒を基調とした装いだった。上着に施されたグリーンの刺繍は、エリュシアのドレスと色を合わせたもの。
偶然にも二人の色が合っていることが、二人の出会いを周囲には強く印象付けているだろう。実際には、事前に打ち合わせて同じ色を使っている。
「ザフィーラ殿下は素晴らしい方……ですが、エリュシア殿下は……」
「その、身分という点では……」
言いにくそうに、ごにょごにょと貴族令嬢達が話しかけてくる。彼女達は、ザフィーラと親しくしている者達だというのは、事前の情報で知っていた。
おそらく、ディーデリックの前で、エリュシアを貶めるように頼まれていたのだろう。
ふと視線を巡らせたディーデリックは、エリュシアに目をとめた。
ディーデリックと目が会えば、胸が高鳴る。
以前は、彼と寄り添って夜会に出席する機会なんてなかった。
いや、夜会に出席する機会そのものがなかった。
ディーデリックがこちらに向かってゆっくりと歩み寄ってくるのを、エリュシアは黙って見つめていた。
今日のディーデリックは、謁見の時とは違うが、黒を基調とした装いだった。上着に施されたグリーンの刺繍は、エリュシアのドレスと色を合わせたもの。
偶然にも二人の色が合っていることが、二人の出会いを周囲には強く印象付けているだろう。実際には、事前に打ち合わせて同じ色を使っている。
「ザフィーラ殿下は素晴らしい方……ですが、エリュシア殿下は……」
「その、身分という点では……」
言いにくそうに、ごにょごにょと貴族令嬢達が話しかけてくる。彼女達は、ザフィーラと親しくしている者達だというのは、事前の情報で知っていた。
おそらく、ディーデリックの前で、エリュシアを貶めるように頼まれていたのだろう。
ふと視線を巡らせたディーデリックは、エリュシアに目をとめた。
ディーデリックと目が会えば、胸が高鳴る。
以前は、彼と寄り添って夜会に出席する機会なんてなかった。
いや、夜会に出席する機会そのものがなかった。
ディーデリックがこちらに向かってゆっくりと歩み寄ってくるのを、エリュシアは黙って見つめていた。