奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 きっぱりとディーデリックに拒まれ、ザフィーラは悔しそうに唇を噛んだ。

(……この人、こんな顔もするのね)

 前世でも、縁の薄かった姉妹だ。
 正妃の娘としてもっとも尊重されていたはずのザフィーラは、もしかしたら挫折を知らないのかもしれない。

「……エリュシア王女。踊れるか?」
「ええ、もちろん……殿下」

 ディーデリックが差し出した手に、遠慮なくエリュシアは自分の手を重ねる。ふたりがすでに親しくなり始めていることを周囲に印象付ける。
 そうしておいて、ディーデリックはエリュシアをダンスへと誘い出した。

(たしかに、この国では習わなかったけれど……学んでおいてよかったわ)

 エリュシアがこの国に戻ると決めた時。
 ディーデリックに頼んで、きちんと教師をつけてもらった。王女としての立ち居振る舞いも、ダンスも完璧だ。

「練習以外で一緒に踊るのは、初めてですね」
「ああ」
「踊りたいと、思っていました……以前から」

 手に手を取ってフロアに出れば、周囲の視線が突き刺さる。以前から、というのは時を遡る以前からということだ。
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