奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 エリュシアに関しては、半分帝国の人間であること、母が平民だったことから、国をこえての政略結婚の役には立たないと判断されていた。
 いずれ、半分平民でもいいからと王家の血を欲しがっている家に恩を売る形で嫁がせる予定だったというのに。

「お前が帝国に行けば、父上も喜んだだろうにな」

 ヴァルスの口から出てくるのは、あくまでも自分勝手な意見。
 エリュシアよりも、ザフィーラが嫁いだ方がいい。それは、母の権威を高めることにもつながる。

(あの娘が帝国に渡っていなかったら、もっと使い勝手がよかっただろうに)

 離宮で暮らし、めったに表に姿を見せることのない末姫。王家の血を欲しがる貴族がいないわけではなかった。
 父はのらりくらりと彼らの願いをかわし、時には、彼らが父の気を引くために献上してきた品々をありがたく受け取っていた。
 そういう意味では、エリュシアを離宮に置いておくだけで、定期的に金銭を得られていたわけである。
 献上された品々は、正妃の母や、ザフィーラの身を飾るのに使われていた。二人の浪費ぶりを考えれば、エリュシアへの献上品は都合がよかったのだが。
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