奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 エリュシアは、ディーデリックの隣に座ってヴァルスの訪問を待っていた。

(……お異母兄様が、ディーデリック様に面会を求めるなんて……何を考えているのかしら)

 あの夜会のあと、ヴァルスからディーデリックに面会を求める手紙が届いたようで、ディーデリックからは、エリュシアも同席するようにと使いが来た。

「……ディーデリック殿下、時間を取ってもらったことに感謝――なぜ、お前がここにいるんだ?」

 入ってきたヴァルスは、ディーデリックの隣にエリュシアが座っているのに驚いた様子だった。灰色の上着に白いシャツ。こうして見ると、顔立ちは整っている。
 だが、注意力は散漫になっているようだ。『お前』とエリュシアを呼んでしまっているのにも気づいていない様子だ。
 驚いた様子のヴァルスに、ディーデリックはにっと笑って見せた。隣に座っているエリュシアの手に、自分の手を重ねてくる。

「彼女に、帝国に来てくれないかと頼んでいたんだ」
「ザフィーラではなく?」

 ヴァルスは、わずかに顔をしかめる。エリュシアが選ばれたのに、納得いっていないのだろうか。

「ああ。彼女に夢中なんだ」

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