奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 ザフィーラが、また、尖った声を出す。
 たしかに、再婚という条件はザフィーラにとっては耐えがたいものなのかもしれない。
 ザフィーラはその点を理解していないようだけれど、本来両国の国力の違いを考えれば、公爵令嬢がヴァルスに嫁ぐのだって、この国からしたら好待遇だ。

「結婚していたのはわずか一年。今年、十九歳になる方です。公爵家の令嬢では、お異母兄様は不満かしら? 皇帝陛下の弟君のお嬢様で、帝位継承権をお持ちの方ですが……」
「いや……不満などあるはずない」

 ヴァルスの方は、乗り気のようだ。彼女の持つ帝位継承権は八番目だが、それでも、帝国を支配できる可能性はある。
 きっとヴァルスの頭の中では、帝国を乗っ取る算段が一気に走り始めたのだろう。にやにやとしそうになったのを隠しきれずにいる。

(まあ、その方の嫁ぎ先はもう決まっているのですけれどね)

 ディーデリックの大切な従姉妹を、ヴァルスになんか嫁がせるはずないではないか。帝国の有力貴族に嫁ぐことが決まっている。

「では、すぐにでも婚約を」

 ヴァルスが身を乗り出してくるのを、エリュシアは笑ってたしなめた。
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