奪われる人生なら、 すべて捨ててしまいましょう ~忘れ去られた第七王女による国を巻き込んだ逆転劇~
 あまりの勢いに取り残されたヴァルスは、エリュシアの方に困惑した目を向けた。

「お異母兄様、気になさらないで。お異母姉様ってば、やっぱり、私のことが嫌いみたいですね」

 棚に置いていた缶は、もうディーデリックに渡して調べてもらってある。やはり、毒物が混入されていたそうだ。

「お異母姉様は難しいかもしれませんが、お異母兄様の方はお任せくださいな。あとで、ディーデリック様によくお話をしておきますね」
「あ、ああ……」

 立ち上がったエリュシアは、退出するようヴァルスに合図する。

(私とお異母兄様の力関係が変化しているの……気づいていないのかしら?)

 エリュシアの合図で素直に退室するなんて。エリュシアの立場の方が自分より上だと言っているようなものだがいいのだろうか。
 ヴァルスの心に揺さぶりをかけられたのなら、エリュシアから言うべきことはないのだけれど。

 * * *



 エリュシアが、ディーデリックの部屋をたずねてきたのは、異母兄、異母姉との面会をした直後だった。

「ザフィーラは、ぼろを出したか」
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